自営業のふるさと納税は限度額に注意!メリットについても解説

ふるさと納税のしくみ

ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に寄附をし、寄附金額のうち2,000円を超えた分について税金の控除を受けられる制度です。また、寄附をすると自治体の特産品などの返礼品をもらうことができます。そのため、実質自己負担額が2,000円で返礼品をもらえるお得な制度です

注意したいのが、ふるさと納税は節税や減税になるものではないということです。あくまで納税は必要ですが、その税金の納付先を自分で選ぶことができ、さらに返礼品ももらえるという制度です。

納税者にとってお得な制度ですが、自治体にとっても貴重な収入源となっています。かつては、返礼品競争が過熱し、金券など地域に関係性のないものも返礼品として送られていました。しかし法改正により返礼品の基準も設けられ、本来のふるさと納税の目的に沿ったものになりつつあります。

控除を受けるには、必ず自分で申請が必要です。申請を済ませれば、その年の所得税か、翌年度に支払う住民税から控除を受けられます。所得税の還付の場合は、申請をしてから通常1カ月~1カ月半ほどで入金されます。住民税は自治体から送られてくる「住民税支払通知書」で控除額を確認できます。

自営業のふるさと納税の注意点

寄附の前に必ず限度額の確認を!

ふるさと納税の注意点としてあげられるのが、控除が受けられる金額には上限があるという点です。限度額は、年収や扶養人数などの家族構成によって変わってきます。限度額を超えた分は控除が受けられず、全て自己負担での寄附となります。

サラリーマンなどの給与所得者と比べて、収入が変動しやすい自営業者の方は特に注意が必要です。限度額を把握しないまま寄附の申込をしてしまっても、後で取り消すことはできません。損をしないためにも、必ず申込をする前に限度額を確認しましょう

では限度額はどのように確認すればいいのでしょうか。

自営業の場合、最も簡単な控除上限額の計算方法は、住民税の「所得割額」の2割程度とされています。所得割額は、毎年5月~6月頃に自治体から送られてくる、「住民税決定通知書」という書類で確認できます。収入が前年度と大幅に変動しないのであれば、その金額を目安に限度額を設定して考えることができます。

各ふるさと納税のポータルサイトで限度額のシミュレーションができますが、ほとんどがサラリーマンなど給与所得者に向けたものになっています。給与所得者と自営業者では控除額が異なるため、同じように計算することができません。シミュレーションを使って計算する場合は、収入から経費を引いた額から、青色申告控除の65万または特別控除の10万を差し引いた額を入力します。

上記の計算方法などはあくまで大まかな目安となりますので、実際に寄附をする時はシュミレーションした金額より10%~20%少ない金額にとどめておくと安心です

「ワンストップ特例制度」は使えない

「ワンストップ特例制度」とは寄附をするごとに必要書類を郵送すれば、確定申告をしなくてすむという制度です。ただし、利用するには条件があり、確定申告をしなければいけない人は利用できません。給与所得者の場合でも、医療費控除や住宅ローン控除などの申告で確定申告の必要がある人は利用できないことになっています。

もともと確定申告をしなければいけない自営業者の方は、「ワンストップ特例制度」は利用できないため、確定申告をするしかありません。

確定申告時に「寄附金受領証明書」の提出が必要となります。受領証明書の提出を忘れてしまうと、せっかくのふるさと納税の控除が受けられなくなってしまうので注意しましょう。

ただし、万が一申請を忘れてしまった場合でも、寄附をした年から5年間はさかのぼって申請をすることが可能です。「更正の請求」という過去の申告を修正する手続きになりますが、控除による還付を受けることができます。詳しい手続きの方法については、税務署に確認するようにしましょう。

ふるさと納税のメリット

注意点もありますが、ふるさと納税にはメリットがたくさんあります。最大の魅力といえるのが、自治体から返礼品がもらえることです。同じ額の税金を払うのであれば、自己負担額2,000円でいろんな特産品などをもらえる、ふるさと納税の方がはるかにお得ですね。

また、寄附先の自治体を選べることもそうですが、寄附金の用途を選べるのも魅力の一つです。普段自分が納めた税金が何に使われているのか、意識している人は少ないのではないでしょうか。せっかくなら自分が納めた税金が、地方創生に役立つように用途を決められれば、ただ納税するよりもとても有意義といえますね。

また年収によっては、もともとサラリーマンなどの給与所得者に比べて所得控除が少ない自営業の人は、その分寄附できる上限額が高くなります。限度額にさえ気を付けていれば、自営業者にとってもふるさと納税はとてもメリットの多い制度です。

まとめ

自営業者の方がふるさと納税をする場合に、一番注意すべきなのは寄附の限度額です。上限を超えた分は税金の控除が受けられなくなり、一度寄附の申込みをすると取り消しはできません。

必ず寄附の申込みをする前に大まかな限度額を算出してから寄附をするようにしましょう。収入が変動することなども踏まえて、算出した限度額より10%~20%少ない金額にとどめておくと安心です。

自営業の人は控除が少ない分寄附の限度額も上がるため、多く寄附できることになります。まだふるさと納税をしたことがないという方も、限度額に注意しながら、お得なふるさと納税を始めてみてはいかがでしょうか。